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富田和明的個人通信

月刊・打組

2002年 3月号 No.74(4月2日 発行)

このページはほぼ毎月更新されます。年10回の発行

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好きな人に 贈りたい

3月17日

「太鼓が好きですか?」
そう聞かれたら、今の僕なら何と答えられるだろうか?
 まったくもって腐れ縁のように感じることもあれば、叩いていれば「これは天職か」と意味もなく嬉しくなって自分で納得することもある。
 太鼓が好きなのか嫌いなのか、そういう事ではなく、もはや自分が太鼓と一心一体、自分が好きなのか嫌いなのか、そういう問いかけになってくる。
 文句なく嬉しいのは舞台で太鼓を叩いている時だろうか。本番に至るまでの時間が長く険しい(?)。その後で、やっと一息入れる間もなく本番で舞台に立った時、なぜか一番落ち着いていたりする。
「これで太鼓だけを叩いていられる‥」と。
 淡路島での和太鼓★新紀撃01公演は、そんな至福の時間を得られた場所だった。

 今年の春も昨年に引き続き、皆様のお陰をもちまして満員御礼の中、無事幕を下ろしました。本当にホッといたしました。月並みですが、お越し頂きました皆様、また、お手伝いの皆様、ありがとうございました。
 地元淡路島、そして橋を渡った徳島、神戸を始め、大阪、京都、愛知、東京からもはるばるお越し頂き、嬉しい限りでございました。この01公演は、まだ三回目ですが、ちょっと余裕も持ててきた気もします(少しだけ)。
 しかし、自分で言うのもなんですが、この新紀撃は面白い。
 演っていて楽しい!
 チラシにもあるこの衣裳は、人の好きずきで意見は二分されていますが、僕はこの衣裳が好きですね。この原色スーツを身につけると気合いが入ります。一気にテンションが上がります。あんまり上がりすぎるので自分では押さえ気味にして舞台に上がっているくらいです。
 熊谷修宏も最近、特に気合い充分、各方面で引っ張りだこの忙しさですから、ノリにのってます。照明の村上智子も今年は花粉症対策も怠りなく快調のようでした。
 今年は新紀撃元年宣言もしています!年末12月公演まで頑張ります。

 最後になりましたが、好きな自分でいられるために敢えて言おう、太鼓が好きですと。

みくまホール舞台写真/3月17日

写真提供/浅野太鼓文化研究所 たいころじい編集部


※上写真は、淡路島での新紀撃01コンサート終了後、スタッフと記念撮影


のほほんの 島へ

3月23日

 太陽がぼんやりと輝いて見えた。
 春だからのほほんとしているんだけど、ここに来るとよけいにのほほんと感じる。

 四国は阿波の国。徳島市内から海南町に向かう道中、少し時間の余裕があったので、世話人のHさんは車を幹線道路から外れた海岸通りに廻してくれた。
 海岸通りと言っても海は遠く離れた眼下にある。断崖の下だ。このままここから海に下りてゆくことは出来ず、もし行くとしたら船で渡るしかない。
 その船でしか足を踏み入れられないであろう岩場と岩場に囲まれた入江に、小さな砂浜が見えた。そこの海の色がコバルトブルーだ。
「あなただけのものよ」とその浜が耳元で呟いて僕を待っているかのようであった。
 出来ることなら行ってみたい。
 しかし、いかんいかん昼間っから、そんなことはできない。僕はこれから仕事(太鼓指導に向かっている途中)なのだから。
「トミダさん、あそこに見えるのが大島で、あっちが出羽島です」
Hさんが僕の心を見透かしたかのように追い打ちをかける。  
 そこから見えた島々にも、そこにはもちろん船で渡るしかない。人がわずかに住む島と無人の島が点在しているようだ。
 そんな無人島の海岸に船で何度か渡ってバーベキューなどをした、などとHさんが嬉しそうに付け加える。
「都会にあるものは何もないけれど、都会にないものは全部ありますよ」とも言う。確かにそうかも。
 それにこの風景はどこか懐かしさもある。佐渡の海と似ているところがあった。瀬戸内の島々とは少し異なる孤独の匂いがあったからだろうか。
 車の窓を少し開けて走らせていたら、風も僕を呼んでいる。こんなところにいたら何か面白い太鼓の曲ができそうな予感があった。
 あんな無人の島に、水と食料と太鼓を持たされて、一人残されたらどうなるんだろう。
「トミダさん、太鼓の新曲が書けたら、この紙とビンで知らせてください」
Hさんならきっとそう言うに違いない。
 ビンにメッセージを入れて海に流したとしても対岸には着かず、それが届いた先がグアムだったら僕はどうなっているのだろう。
 いつまで経っても迎えの船は来ない。やることないからずっと太鼓だけは叩き続けていると、人は住んでいないはずなのに太鼓の音だけは風に乗って対岸まで届く。誰が呼んだか知らないけれど、いつしかその島は太鼓アイランドと呼ばれるのだ(チャンチャン/5周年ですからこんなオチも勘弁して下さい)。
 くだらない妄想を助手席で楽しんでいると、おっ、と、猿が道路を横断した。あれは野生か?手も上げないで渡るので危なかしくてしょうがない。
 徳島市から車で二時間弱、海南町はもうすぐだった。

※上写真は、海南文化村ホールで行われた、海南太鼓の太鼓指導風景。六尺の桶太鼓があったのには、僕もビックリしました。こちらは、のほほんの稽古ではなく、しっかりとやってきました。 P.S.カツオのたたきもおいしゅうございました

撮影/東谷 一郎



桜は散っても 太鼓はたたく

3月29日

  春ですね〜 温かくなりましたね
  そうだね、でも桜は今年もアッという間に散っていったね
  梅は咲いたけど桜はまだかな〜なんて思ってたら、急に桜が咲き始めて、咲いた!と思ったら、今度は雨と風でお花見どころじゃなかったです。早かったですね散るのは
  疑惑は出たけどこのくらいではすぐに収まるかな〜と思ってたら、急に辞職だもんね、ビックリしたよ。桜が散るよりも早かったんじゃない
  何の話ですか?
  辻元清美さんのはなしだよ。「私があなたのお母さんだと思って包み隠さず話してください」って国会で言ったの。熊ちゃん知らないの?
  知ってますよ。でも今、桜の話をしてたんでしょ
  あれが「私があなたの義理の姉だと思って」じゃダメなんだよ
  話がややこしくなるだけじゃないですか
 「私があなたのムーミンだと思って」じゃもっとダメなんだよ
  当たり前ですよ、まだ言ってるんですか それにどうしてそこでムーミンが出てくるんですか
  あの場面であのセリフはかっこよかった。ボクはあの証人喚問をTVの生中継で聞いてて感動したよ。国会であんなセリフ言える人いた?待ってたのよそういう人
  でも、ただ面白くってもしょうがないでしょ演芸場じゃないんですから
  ムネオさんも負けていなかったね、最後の最後にとにかく吠えてた。散り際が肝心ってよくいうけど、あの粘りは道産子かな?
  怒られますよ北海道の人に。政治家としてはそのくらいの方でないと務まらないんじゃないですか
  そうだね〜、いっぺんに30万人殺したら勲章貰えるけど、一人殺すと犯罪になるって言うからね
  どうしてそこで原爆の話がでるんですか?大きい嘘と小さい嘘の例えをそんなふうに変えないで下さい。違うでしょ
  でも頭角を現すというのは大変なことだね
  そうですよね 辻元さんもあそこであんな大見得切らなければ ほじくり返されなかったでしょうしね
  可哀相だったね、この前の森さんも。首相になったばっかりに、さんざん出てきたからね‥‥
  辻元さんと森さんを一緒にしたらいけないでしょ!
  その点、クリントンさんは偉かった
  って、誉めてるんですか?
  子供たちは、こういう大人の態度を見て育つとどういう大人になるんだろうかね
  ま、僕たちも大人の一人ですけどね それはそうとトミダさん、今日のタイコの稽古はどうなったんです?
  あ? そうだったゴメンゴメン さあ始めようか
  もう時間ないですよ

※この会話は、すべて富田の創作です

※和太鼓★新紀撃、次回の公演は『和太鼓 新紀撃01新横浜』二夜連続 夏祭りコンサート(7月26 金 夜・7時開演/27 土 夕刻・5時開演)ですが、それまでにもGWは、広島と岐阜に、イベント出演でお邪魔いたします。お近くの方は遊びに来てください

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