森の舞台は、本当に森の中ある。木々の枝葉以外に空をさえぎるものは何もない。開演時間が近づいて、結局ここで演ることになった。かろうじて雨は降っていないが、湿度は100%に近い。夜7 過ぎ、マルセさんが初めてこの地を訪れた時のビデオから、会は始まった。若い。久々に見るマルセさんの姿がそこにあった。これまでの活動を振り返る映像が流れた後、真剣を使っての演武、巻上公一さんの口琴・ホーミーを操る不思議な世界があって、僕の出番。そこで雨がしっかりと確かに降り出した。ここまで来てもう止めるわけにはいかない。雨が振りしきる中、唄をうたい、太鼓を叩いた。この日のために集まった、たくさんのマルセファンの熱気に押されて、バチを振り動かされていたような、そんな時間だった。叩き終わって気が付くと、雨は止んでいた。
僕の後に田中泯さんの舞、マルセさんのスライド上演、矢野陽子さんの熱唱・珍島アリラン、最後にマルセさんの長女・梨花(りか)さんの、父を、白州を、死を、生き様を振り返るトークがあって、最後の最後に大騒ぎで楽しい?葬儀、出棺までのビデオが流された。人間・マルセ太郎を改めて認識させられる一夜だった。まだマルセさんは僕の胸の中にある。
太鼓アイランド白州 巨麻神社 2001.8.12 撮影/近藤 賢 この地でマルセ太郎さん追悼の会が開かれることになり、参加の声を掛けていただいた時から、ここで太鼓を叩きたいと思っていた。マルセさんが白州にやってきた最初の年の公演場所もここだったそうだ。
巨麻神社は緑の中だ。最初は激しい蝉時雨を感じたが、太鼓を叩き始めるとまったく蝉の声も聞こえなくなった(あたりまえか?)。太鼓の音で何処かに飛んで行ってしまったのだろうか?
ほとんどの方が、初めて太鼓を叩いた、触った方でした(数名、かなり慣れた方もいらっしゃいましたが)。参加の中にマルセさんの息子さんの姿もありまして、これには僕も驚きました。
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