インターネット版●

富田和明的個人通信

月刊・打組

2005年 12月号 No.106(12月25日 発行)


来年も、あなたに鶏鼓!

富田和明 鶏音鼓2005 発響公演 終演

12月25日

 完全一人太鼓の舞台が生まれました。

 鶏音鼓2005 発響公演が終わってから早、一週間が経ちましたが、  まだワタクシは余韻の中におります。    

 

 太鼓のソロ公演は、これまで何人かの方の公演は拝見しましたが、ソロ公演と言いつつも、ゲストが出る、他にアシスタント的なメンバーが出たり、仲間が登場するものもある。

 ま、それが普通にソロ公演という名でも行われています。

 他の出演者がいない、一人で叩く一時間半なりの舞台というのは、そんなに誰も彼もできるものではございませんし、太鼓の場合、一人でやることにこだわる意味もあまりないかもしれません。

 僕も、一人の形がすべて善だと思っていません。二人で叩くのが自然だし、もっとたくさんの人たちと一緒に叩くのも楽しいことです。

 

 

 ただし今回は、音を出すのが一人。

 ゲストも、助っ人の音出しもなく、やりました。

 しかも、

 道具転換、太鼓出しもワタクシ一人でやるんですから、こんな完全一人太鼓舞台は他に見たことはございません!

 

 太鼓という楽器の演奏は、これまで僕の頭の中でも、最低二人はいないと難しい。表現したいものが伝えられない、と思っていました。

 でも、出来るものですね、考えてやれば。

 僕の中で、新しい一ページが開かれたことは確かです。  

 

 しかし、本当に一人だったのかと、

 改めて問われますと、答えに少し窮します。    

 

 

 ワタクシの場合は、やはり素晴らしい共演者の皆さまが‥‥‥

 

 そう、お客様でございます!

 

 お客様の存在なくしてワタクシの一人舞台は成り立ちません。

 お客様のご協力、一緒に楽しんで頂けるお気持ちがありませんと、舞台が進行いたしません。

 本当に皆様あっての舞台でございます。

 改めまして、言います。

 一人太鼓プラス、お客様あっての舞台 でございました。

 

 

 

 それと大変重要なのが、今回、

「富田が一人でやるのなら手伝ってやろう」

と、言って下さったスタッフの方々であります。

 

 ワタクシ、アイデアはあったんですが、それだけではなかなか前に進みません。

 誰かに自分が今、何をしようとしているのか、何をしたいのか、何を伝えたいのかが、お客さんに分かるように、理解してもらえるように、客観的に見てもらわないといけません。

 それを今回は、永井寛孝さん(演出家・脚本家・作詞家、そして役者)にお願いしました。

 今回の舞台の幕開きトップに唄いたかったのが、永井さんが作詞した『納豆をおいしく食べるには(作・編曲/竹田 えり)』の替え歌『太鼓をたのしく叩くには』なんです。

 ご存じの方は少ないと思いますが、1998年4月「兎小舎 なにみてたたく」第十一夜公演で一度だけ唄った曲でした。

 僕も大変気に入っている替え歌の歌詞は、HPに公開しています(ぜひご覧下さい)。

 

 永井さんにこの歌の振付をお願いして、いっそうのこと公演全体の演出も見ていただけないかと、厚かましくお願いしたところ、快く引き受けて下さったのです。

 僕のオリジナル太鼓曲の一つに『MASARU』という曲がありますが、これはマルセ太郎さん作・演出芝居『花咲く家の物語』の劇中、永井さん演じるマサル君が叩く為に作った曲でした。

 そんなご縁もあっての永井さんに開演から終演まですべての事を見ていただき、アドバイスを頂いております。

 たぶん、まだこれからもこの関係は続くと思われます。

 永井さん、逃げないで下さいね。

 

 

 それに加えて、長年の腐れ縁?同じ酉年生まれの村上智子さん(照明)とは阿吽の呼吸でございますし、その村上さんに加えて、今回初仕事の横浜放送映画専門学院時代の同級生・嶋崎 靖さんが、舞台監督で参加してくれました。 

 嶋崎さんも、普段は演出家&役者さん&チンドン屋さんですが、一緒に鶏音鼓の色んな工夫も考えて下さいました。

 

 そして毎回、素晴らしい衣裳を作って下さっております、鴇田 章さんと伊藤 晴美さん。

 僕がどんな衣裳が欲しいのか、それならこんなことをやってみたいのだと、このお二人に舞台構想を話したのが、鶏音鼓公演がスタートするきっかけにもなっています。

 

 他にも舞台横でKさん、急遽音響を手伝ってもらったHさん、受付会場整理販売打ち上げ用意片付けその他諸々などでは、お手伝いの常連さん、Nさん、Yさん、Oさん、Uさん、それから打組スタッフのY。

 他にもたくさんの方のお手をお借りしまして公演の幕が開き、そして降りました。

 

 

 客席から見て出演者が僕一人なだけであって、完全一人太鼓舞台、などとはとても言えないかもしれません。

 それでもあえて、叫びます。

 

 たくさんの応援を頂いたからこそ出来る、お客様と一体になった時にこそ「完全」と冠の付く一人太鼓舞台。

 ね。

 

 最後に、ワタクシにとってこの初めての挑戦(ということは、もちろん他の太鼓打ちも誰一人やったことのない挑戦だと思います)、そんなワタクシを見守って下さるお客様と共に、門仲天井ホールも優しく包んでくれているのでした。 このホールがあってこそ、鶏音鼓が生まれました。

 

 

 

 この鶏音鼓コンサートは、三部作になっておりまして、次回・第二部は、12年後の『鶏音鼓2017 歓暦』を予定しています。

 が、太鼓は熱いうちに打て!    

「鶏音鼓2005 発響」の再演を決定いたしました。

 

 題して、『鶏音鼓2006 発響』。    

 先ずは3月18日、淡路島公演(洲本市・千福寺)  

 そして夏の始まり、7月14、15、16日、と三日間続く東京公演(初演と同じく、皆さまご存じ門仲天井ホール!/次回はなんと全席指定で、チケット前売開始は、2月8日)

 詳細は、こちらをクリックして下さい(追加公演 7月13日も決定)。      

 

 

 12月公演にお越し頂きました皆様、本当にありがとうございました。  

 もし気に入って頂けましたら、まだ観ていないお友だち、お知り合いにぜひご紹介下さい。    

 

 来年の夏は三日連続!

 当然体を鍛えて、内容も再演とはいえもっと濃く?お届けしたいと思っています。  

 

   

 

 鶏音鼓 公演を見られた方が、後で知人やら友人やらに「どうだった?」と感想を聞かれて、または聞かれるもなく話したくてたまらなくなって、一言。

「それがね、ほんとにバカなことやってんのよあの人、ほんとバカ‥‥」

 と言いつつ、ついワンシーンを思い出してしまい「ウフフ」と笑顔がこぼれ、そこで突如なぜだか、ウッ、と何かがこみ上げてきて、それを隠そうとするかのように「アハハハハ〜」と一人声を上げて笑ってしまう。

「どうしたの? あなたもちょっと変よ‥‥」

 とその相手にも呆れられてしまう。

 

 そんな太鼓舞台が作れることが僕の夢です。

 

 

 

 来年も、あなたに鶏鼓! まだまだ続きます。    

 

 

Photo/最初の二枚・梶山 博明 最後の一枚・小田嶋 直子

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 TOMIDA KAZUAKI TORI-OTOKO HAKKYO

 富田和明 鶏音鼓2005 発響 12/16 + 17

 

 出演/富田 和明 

 演出協力・振付/永井 寛孝 照明/村上 智子 本多 典史 

 舞台監督/嶋崎 靖 舞台協力/柿崎 勝行 窪田 美香 斉藤 邦男

 衣裳/鴇田 章 伊藤 晴美 音響協力/斉藤 美佐男(T・E・O) 橋本 美和

 協賛/浅野太鼓楽器店 ブロンドール株式会社

 協力/黒崎 八重子 山本 雅彦+PROX DESIGN U-Stage 太鼓アイランド  

    中村 光子 矢崎 一美 小田嶋 直子 宇田川 泰子 与那嶺 幸代

 会場/門仲天井ホール・Art Kitchen

    東京都江東区門前仲町 1-20-3 8F 地下鉄東西線・大江戸線「門前仲町」駅下車

 

 企画・主催/打組 Tel&Fax 045-913-5582 utigumi@tomida-net.com

 

次回、2006年 3月18日 鶏音鼓 淡路公演  7月13〜16日 鶏音鼓 東京公演


インターネット版 『月刊・打組』 2005年12月号 No.106

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