月刊・打組 2013年 8月号 No.130(8月26日 発行)


 

太鼓打ち富田和明が歩く

四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2013

土佐國之巻弐 打ち始めに一言

 

 

お遍路にはいつも出たいと思っていた。


区切り打ちを二度行って、やっと高知に入ったところで止まっていた。


今年こそは、今年こそは、と計画しながら、いつも流れて行くばかり。

その間に大震災もあって、また遠のいた。

気が付けば、前回の区切り打ちから四年も過ぎていた。



歩くのは春だ、秋だと贅沢は言っていられない、たまたま夏に時間ができた。

もう今行くしかない。


猛暑の夏、それでもいいではないか、
どのくらい大変なのか、歩いてみようと思った。

日本観測史上最高温度41.0度が出た翌日に、その高知県に出発となった。



時期に不足はない。

夏を満喫できる最高の舞台が整った。

 

お大師様、ありがとうございます。

 

 

横しま縦しま 何処(いづこ)かへ  歩みつなげて 夏の道  まだ知らぬ声 聞きたくて

 

 


出発前夜 8月13日(火)

 

※東急田園都市線・たまプラーザ駅



 

前夜の七時過ぎ、たまプラーザ駅から新宿に向かう。

 

20:35発、高知行き夜行バス「ブルーメッツ号」。

三列シートの夜行専用バスは満席で、手に入れられたのは四列シートの普通バスのチケットだった。

それも五号車。お盆真っ盛りだから仕方がない。

 





出発にも手間取ったけれど、15分くらいの遅れで出発。

予想通り眠れず。

 

いやはや、四列シートは苦行でした。

車内にトイレもないので、2時間おきにPAで停車していく。

その度に目が覚める。

 

 

 


第一日目(通算11日目) 8月14日(水)

 

夜中の3時過ぎ、窓の外を見れば、淡路島の室津PAだった。
なんとなく、これは嬉しい。

高知に行くのも結局は淡路島経由で、そして大好きな徳島も通過していく。
それだけのことだけど、ちょっと嬉しかった。

徳島は、いま阿波踊りで燃えている筈だ。
そんなことを考えながら、バスは走っていく。

お盆の渋滞で、到着予定時間が一時間遅れて、
高知駅前のバスターミナルに到着したのは朝の8時半に近かった。

 

それからJRと土佐くろしお鉄道に乗って、赤野駅をめざす。

 

時間があったので、高知駅で駅弁を買ってみた。

 

 

高知市高知駅からJR土讃線で御免駅まで
そこから土佐くろしお鉄道ごめんなはり線に乗り換える。

 

 

 

 

 

ごめんなはり線は、やなせたかしさんが全面協力して盛り上げている。

楽しいキャラクターがそれぞれの駅で待ってくれている。

 

高知県安芸市赤野駅に着いた。

 

 やっと9時40分歩き始める。

久しぶりにリュックを担いで歩く。

 

駅のトイレに入るだけで、すでに汗だく。

 

 

 


真っ青な空と海、輝く太陽。

これぞ、夏だ!

すぐに芸西村(げいせいむら)に入る。
琴ヶ浜を左手に進む。

素晴らしい浜だけれど、人影はまったくない。

海流が激しく、遊泳禁止になっている。

 

道の駅やす、でお昼ご飯にした。ラーメンを食べる。

ゆっくりここで休む。というか、動けない。

とにかく暑さとリュックの重さにまだ不慣れなのだ。

ここまで汗だらけで、自動販売機を見つけては、水を飲んでばかりいる。

 

この後は、海岸線を離れ、香南市(こうなんし)
旧赤岡町から内陸に入る。

 

 

午後三時過ぎ、ニ十八番大日寺(だいにちじ)に到着した。

ここまで約15.7キロ。

五時間以上もかかって、やっとこの距離を歩けた。

やはり普段とは、まったく違うということだ。

 

 

 

 

 

本堂前と大師堂前で般若心経を唱える。

 

もうフラフラで、寺前の売店でおばちゃん相手にコーラ一本で話し込む。

なにしろ、他に人がいない。

 

この時間に訪れるお遍路さんはいないのだろう。

ここに来るまでも、一人のお遍路さんとも会わなかった。

 

よさこい祭も昨日で終わったので、特に人がいないらしい。

 

午後四時を過ぎて、歩くことにした。

 

 

 

物部川を渡って香美市(かみし)に入る。

写真を見ると暑そうに見えませんが、かなり暑いのです。

田んぼの中を歩き続ける

 

 

 

 

松本大師堂、ここには泊まれない。

 

その先にある、西山遍路宿に泊まらせて頂くことに‥‥。

ここまで約5.5キロ。午後五時半を過ぎていた。

 

 

お接待をされている方に電話をして、許可を頂く。

もうヘトヘトでしたが、歩いてうどん屋をみつけ、

そこで生ビール二杯とうどんを食べる。

こんなに美味しいビールは久しぶり(いつも美味しいのですが)だと思う。

 

帰って、小屋の裏で裸になって体を洗い、洗濯もして寝ることにする。

その時に気が付いたのですが、小屋の裏は墓地でした。

お盆なので、けっこうお参りの方も多い。

 

 

 

 

土佐ごめんなはり線・赤野駅から歩く 午前九時四十分過ぎ発 午後五時半頃お参り終了


ニ十八番・大日寺(だいにちじ)


海岸線を歩いて、その後は田んぼの中を歩く


歩行参拝八時間弱 約21.2キロ 宿は、西山遍路小屋



 

第二日目(通算12日目) 8月15日(木)

 

夜、シュラフだけを敷いて寝ていたが、寒くて目が覚めた。
毛布を掛ける。

もう一回寝ていたら、ものすごい爆音で目が覚めた。
この小屋裏には製氷機があって、氷がたんまりとあるのです。

その事は素晴らしいことなのですが、この氷を業者?が夜中に取りに来る。
何度も何度も、ものすごく大きな音なのだ。
時計を見たら1時過ぎだった。
この時間に普通の業者が来るか?

朝4時になると、真っ暗の中、お参りの方がお見えになった。

それまでも何度も起きているが、僕も4時半に起きた。

お参りの方と、挨拶をする。

朝のこの時間は、かなり涼しい。

 

荷物を片付けて、5時出発。

 

 

外は、やっと明るくなってきている。


夜明けが、東京より遅い。西に来たのだと実感する。

 

 

朝6時半、ここまで3.7キロ。二十九番・国分寺(こくぶんじ)に到着。

静かな朝だ。

 

 

 

ゆっくりと般若心経を唱えた。

 

 

 

そしてまた歩く。

 

 

 

国分寺から次の善楽寺まで、約6.9キロなんだけれど、
手前にある宿・蓮院坊(レインボー)北星で朝ご飯を食べる。

今日の宿もここにした。


午前9時半、三十番・善楽寺(ぜんらくじ)に到着。

 

 

 

 

お隣にある、土佐神社。

もう日差しが、相当にきつい。

 

 

高知市内も通る。
路面電車が懐かしい。

 

その後は五台山を登る。

 

 

 

ハアハアいいながら、少しずつ歩き、

植物園の中も通り抜け、三十一番・竹林寺(ちくりんじ)に到着。

 

 

 

 

立派な五重塔もあるお寺で、参拝の方も多い。

休憩所で麦茶を頂く。

 

 

 

 

下田川沿いを歩く。

この辺り、直射日光は殺人的だ。

木蔭は嬉しい。

 

 

 

 

 

 

またもや山を越えて、やっと三十二番・禅師峰寺(ぜんじぶじ)に到着。

 

 

 

 

 

 

 

海に出る。

海岸線を歩く。

潮の匂いだ。

高知新港も通り、浦戸大橋を渡る。

 

 

 

 

 

 

遍路道からは少し離れるけれど、桂浜に行こうと思った。

けれど、その前の県立坂本龍馬記念館に行って、今日は打ち止めとした。






西山遍路宿を朝五時発 午後五時過ぎ龍馬記念館まで


二十九番・国分寺(こくぶんじ)/三十番・善楽寺(ぜんらくじ)/三十一番・竹林寺(ちくりんじ)/三十二番・禅師峰寺(ぜんじぶじ)


今日は歩いたと思ったが距離的にはそうでもなかった。やはり暑さが激しかったせいか‥‥。


歩行参拝十二時間 約30キロ 宿は、レインボー北星




第三日目(通算13日目) 8月16日(金)

 



朝五時半に朝食、六時すぎ車で高知県営フェリー乗り場のりばまで車で送ってもらう。

6:40発フェリーに乗って対岸に向かう。

無料だったのが驚きでした。

 

 

 

 

 

 

フェリーは5分か10分で対岸に着く。

そこからほど近い場所に、三十三番・雪蹊寺(せっけいじ)はあった。

午前7時半着。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前九時、三十四番・種間寺(たねまじ)到着。

珍しく平地のお寺、太陽が全面に降り注ぐ。陰がない。

ここまで来るのに、何度も何度も、水物を飲んでしまう。

暑い。

 

ここでも寺内にある売店で、長い時間休む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仁淀川まで来ると、たくさんの人がキャンプや水泳を楽しんでいた。

 

 

 

僕もたまらず、川に入る。気持ちよかった。

 

 

 

その後も、川沿いを歩く。

遮るモノがない道だが、川から上がった後は爽快だった。

 

 

ここから土佐市、この後、土佐市街地も通って清滝寺をめざす。

 

 

ここはやっぱり山の中。

お昼の十二時ちかく、三十五番・清滝寺(きよたきじ)に着いた。

 

 

 

 

立派な休憩所があって、午後二時まで休んだ。

畳の部屋もあったけれど、

体はドロドロの汗なので、ベンチで横になって休む。

 

 

 

再び土佐市街を通り抜け、山を越えて宇佐に入る。

 

 

 

 

宇佐大橋を渡って、海岸線を歩き、竜の浜海水浴場まで歩いて、打ち止めにする。

 

浦の内湾。

 




フェリー乗り場に朝六時半着 そこから午後五時半まで歩く


三十三番・雪蹊寺(せっけいじ)/三十四番・種間寺(たねまじ)/三十五番・清滝寺(きよたきじ)


歩行参拝十一時間 約30.6キロ 宿は、レインボー北星

 


歩き遍路2013 vol.2   8/17-21 第四日目から七日目までは、こちらをクリック 三十六番から三十七番 に続く


 

四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2008

5月17日(土)〜21日(水) こちらをクリック 一番から二十二番

 

四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2009

阿波國〜土佐國之巻 を歩き終えて

vol.1 11/9-11 第一日目から三日目までは、こちらをクリック  二十三番から二十四番

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四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2013

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四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2014夏

vol.1 8/11-13 第一日目から三日目までは、こちらをクリック 三十八番

vol.2 8/14-16 第四日目から六日目までは、こちらをクリック 三十九番から四十番

 

四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2014秋

vol.1 9/30-10/2 第一日目から三日目までは、こちらをクリック 四十一番から四十三番

vol.2 10/3-5 第四日目から六日目までは、こちらをクリック 四十四番から五十三番

 

 

富田和明 プロフィール

 

 


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インターネット版 『月刊・打組』2013年 8月号 No.130

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