月刊・打組 2015年 8月号 No.133(9月1日 発行)
四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2015 vol.1
伊予國之巻五 7/24-28 第一日目から五日目まで
出発前夜 7月23日(木)
いよいよ出発の日を迎えた。
遍路の荷物は、ウエストポーチを含めるとどうしても10kgを超える。
何を減らしたらいいのか判らない。
もう後は、むこうに行ってから不要と感じたものは、送り返すことにして
最初はこの荷物を背負うことにした。今、自分が生きていく上で、いったい何が不可欠なのか、それが判る旅である。
今夜の夜行バス、横浜発松山行き。
途中に淡路島も徳島も香川も通って行く。
電源を 探す旅に なりそうだ あると便利で 無くても死なんが
第一日目(通算30日目) 7月24日(金)
高速のPAで売っていたので、思わず買った。
朝8時に松山市駅について、市内電車に乗って松山駅へ。
そこから伊予和気駅に着いたのが、9時でした。
そこから今回の遍路がスタートしました。
まだスマホで文章を書くのになれない。
とにかくそれから夕方6時半まで歩いた。
休憩時間も長かったけれど。
スイカをお接待されて、貪る
今、居るのは今治市大西/星の浦海岸公園。
初日はここで野宿することにした。
歩数計を見ると歩いていた時間は、6時間半で33.5km。
荷物の重さにもまだ慣れない。一歩一歩足を前に出す度、重さを感じる。
今日はまだ一人のお遍路さんとも会っていないが、自転車野郎と一緒になる。
眠れるかな………。
今日は野宿でも最高に恵まれた場所だ。シャワーもトイレもあって、快適。
歩行9時間半 33.5km お参りなし/天気快晴
第二日目(通算31日目) 7月25日(土)
夜中に何度も目が覚めた。
星が綺麗だった。
東の空が少し明るくなってきたので起きた。
4時半だった。
荷物を片付けたり、出発の用意をしているだけで、5時半を過ぎる。
野宿は色々とやらなくてはいけないことが多い。
朝日が眩しい。
今日も晴れそうだ。
目の前の瀬戸内海は、ほとんど波がなく静かだ。
と、ここまで朝に書いて出発は6時だった。順調な滑り出しで歩きだした。
まだ二日目だっし。
第54番・延命寺
第55番・南光坊
第56番・泰山寺
第57番・栄福寺
映画『ボクは坊さん。』の原作者はここの住職。
第58番・仙遊寺
五郎兵衛坂
第59番・国分寺
54、55、56、57、58、59、
と、ここでもう限界。
でその後、湯ノ浦温泉まで来た、ら、宿がなかった。
しかたなく温泉だけは入れたので入り考えた。が、方法なく。
夜の8時になって、道の駅に来た。
ここはあまり良い環境ではないが、ここのどこかで寝ないといけない。
ところが、二日目にして腰が痛い。たぶん荷物のせい。
それから豆が三ヶ所に出来ていた。
さっきの温泉で処置はしたけれど。
今日はほんとに眠れるのか?
自動販売機の前のベンチにて。
歩行10時間 38.5km 天気快晴
第三日目(通算32日目) 7月26日(日)
昨日の夜は、何とか良さそうなスペースをみつけて、寝床を作ってみれば、
完全に寝る体制になってから気が付いた。
臭い……。
何の臭いか分からないがたまらず、頭と足の向きを入れ換えると、
少しましになりそのまま寝た。
1時間おきに目が覚めて起きるが、それでも寝たとは思う。
4時まで待って出発準備をしていると、4時半にゴミ回収車がやって来た。
「にいちゃんごめんよ」
と、そこはゴミ集積小屋の前だったのだ。
道理で臭いはずだ。
今日の歩き始めは、朝5時。
湯ノ浦温泉を出て、西条に向かう。
今回の旅では一番の難関、それは知っていた。
第60番横峰寺への道。
やっと着いた。第60番・横峰寺
大変だった。
登山入り口に行くまでも長かった。
しかし今日僕が一番堪えたのはその後、香園寺さんに向かう下り道。
ここまで、長すぎた。
いつまで続くのかと思った。
山道は登りは当然きついが、下りも地味にきつい。
膝と靴に来た。
第61番・香園寺
今日は、朝5時から夕方5時半まで歩く。
歩数計では、9時間10分、45km。
でもこの距離は違う。
山は足幅が小幅になる。
実際に歩いた距離は40km程度だと思うけれど、それでも一番長い。
山の1kmは1時間かかることもあ
る。
とにかく山は大変だ。
お遍路さんは自らこんな大変なことをして、それで喜んでいる。
Mだね。
今日ずっと自分に言い続けていたこと。
「一歩、一歩、一歩…」
単純なことだけれど、この一歩を言わないと足が前に出ない。
言い続けて登り、言い続けて下った。
60番横峰寺、61香園寺、忘れられない寺となる。
横峰さんではアブに好かれてこれも大変だった。
汗と泥と水にまみれた一日だったということだろう。
西条の小松ではお祭りをやっていた。
最後に、Sさん、Tさん、Tちゃん、それと名前が出てこないもう一人、みんなと会った。
ビールをタラフクと飲んだ(僕だけ)。
宿にも泊まり、洗濯もする。
宿は、とっても楽ちんだ。
飲んで宿に帰って来たら鍵が閉まっていたので開けてもらう。
朝の5時に歩き始め、夜の11時まで、
疲れて、楽しかった長い一日が終わる。
歩行12時間半 40km 天候晴れ
第四日目(通算33日目) 7月27日(月)
朝6時に起きて、出発は7時半だった。
第62番・宝寿寺
第63番・吉祥寺
第64番・前神寺
Tさんのガソリンスタジオに行って挨拶をし、62番に参り、朝食。
その後、63番、64番まで参る。
61番香園寺から64番前神寺までは、だいたい並んでいて近い。
と、ここで足が止まった。
昨日の疲れか、昨日までの疲れか、今日の道はなんのこともない平場の道路なんだけれど、足が重い。
しばらく休んで、歩き出すもまた止まる。
足のマメモそろそろ疼きだした。まだ大丈夫だけれど、
すぐドラッグストアに入って新しい薬も買った。
去年の夏のような事にならないよう、化膿しないようにと、それが心配。
体が動かないと言っても、休んでいるだけでは、前に進まない。
少しでも、ゆっくりでも歩こうと、近い場所でホテルも決め歩き出す。
それでもこの道程が長かった。
新居浜のホテルには夕方4時半着。
一応9時間は歩いていた(休憩を含めて)が、休んでいる時間が長い。
ホテルはとっても綺麗な部屋だ。
もちろん豪華な部屋ではなく、簡素だけれど清潔がある。
歩行9時間 27km 天候晴れ
第五日目(通算34日目) 7月28日(火)
今日も暑かった〜。
朝はゆっくりと9時半の出発。
今日は、一つのお寺にも参らず、ずっと歩いていただけ。
自分との闘いというか、問いかけの時間が続く。
歩いている時は、ただただ暑いなと、荷物が重いなと、そんなことしか考えていない。
半時もしないうちに飲み物を買ったり、休んだり、荷物を下ろしたり、その繰り返し。
国道11号線ばかりだと車が多くて嫌になるので、旧国道の讃岐街道も歩く。
讃岐街道は車もさほど通らなくて歩きやすいが、お店もコンビニもないので、買い物とかトイレの時は国道まで出た。
この二つの道は、ほぼ同じように並んだり交差したりしている。
四国中央市、伊予三島のホテルまで、7時間。
暑いな、と他にも問いかけはあるが、過ぎてしまえばあまり覚えてはいない。
お遍路さんとは一人も会わない。
数は多くないので僕が会わないだけで何処かで歩いているのだろう。
だから話もほとんどしないが、地元に住む、昔に遍路をしたことがあるという経験者の方から、
アメをもらったり、ペットボトルの差し入れをもらったり、麦茶を接待されたりはあった。
それは嬉しい。
他にも道行く人とすれ違いさまに一言
「暑いな」とか、
「エライな」とか、
会釈だけでも気持ちは随分と助かる。
いったいなんでこんなことをしているのだろうという問いかけに答えは出せない。
ただ目の前に続く道に、足を一歩差し出すだけだ。
でないと、永遠に宿には到着しないから。
宿に着くと居心地がとても良いが、これで良かったのかなとも思う。
明日からまた山に入るので、体と足は休まった。
足のマッサージとストレッチとマメの処置をして寝る。
歩行7時間 27km 天候晴れ
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四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2008
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四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2009
阿波國〜土佐國之巻 を歩き終えて
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四国八十八ヶ寺巡り 歩き遍路 富田打ち 2015
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インターネット版 『月刊・打組』2014年 9月号 No.131
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